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薬剤師国家試験では医薬品の構造式が問題文中に出題されていることがしばしば見受けられるかと思います。
ある出題では、問題文に対して構造式を選択肢の中から選ぶパターン。
記載されている構造式の化学反応に関して問われるパターン。
あるいはドラッグターゲティングシステムについて問われるパターンなど、様々な形で医薬品の構造式が登場します。
先日、97回-108回薬剤師国家試験に出題されている構造式をごろ根っこが必死に集めました。
今回はこの構造式の中から問題中に記載された回数の多い医薬品の構造式をランキング形式で紹介していきます。
※可能な限り正確な情報を掲載するよう努めています。構造式のカウント漏れの可能性もあるのでご了承ください。
第1位 アセトアミノフェン 登場回数:9回
出題: 98 回 問 22 、 99 回 問 200 、 100 回 問 130 、 101 回 問 6 、 102 回 問 209 、 103 回 問 224 、 103 回 問 207 、 105 回 問 171 108 回 問 29
97回-108回薬剤師国家試験 で掲載回数の一番多かった医薬品は『アセトアミノフェン』です。
アセトアミノフェンは12回の国家試験の間に9回も登場しており、出題されなかったのは、97回、104回、106回、107回。
有名な医薬品のため今後も出題される可能性は高く、構造式を覚えておくことは必須とも言えるでしょう。
ただし覚える程の構造をしていないのですぐに記憶できるのではないかと思います。
医薬品の名前から、アセト+アミノ+フェンと分けて考えてしまえば構造を見た瞬間に判断できるようになるのではないでしょうか。
IUPAC名 : N-(4-Hydroxyphenyl)acetamide
第2位 モルヒネ 登場回数:8回
出題: 97 回 問 109 、 98 回 問 97 、 100 回 問 211 、 104 回 問 40 、 105 回 問 132 、 105 回 問 109 107 回 問 10 108 回 問 44
2番目に多かったのは『モルヒネ』でした。登場回数は8回となっています。
モルヒネは薬剤師国家試験において頻出する医薬品で、構造式が登場しない問題も多く存在します。
モルヒネは強力な鎮痛作用を持つので、癌性疼痛の治療にも用いられる有名な医薬品でMSコンチンなどがあります。
構造式の特徴としては、イソキノリン骨格を有することです。
また、チロシン由来のベンジルイソキノリン型アルカロイドです。オピオイド系のヘロインやコデインなどと構造が似ています。
構造をよく見ると確かにチロシンが浮かび上がってきます。
ちなみにモルヒネはギリシャ神話の夢の神、モルフェウスに由来するそうです。
IUPAC名 : (5R,6S)-4,5-Epoxy-17-methyl-7,8-didehydromorphinan-3,6-diol
関連記事: モルヒネの鎮痛作用を持つ代謝物のゴロ、覚え方
第3位 エフェドリン 登場回数:7回
出題: 97 回 問 101 、 99 回 問 132 、 101 回 問 215 、 104 回 問 108 、 105 回 問 214 107 回 問 214 、 108 回 問 106
3番目に多い構造式は『エフェドリン』でした。登場回数は7回となっています。
エフェドリンは覚せい原料として「覚せい剤取締法」で取り扱いが規制されている(10%以下除外)ため、法規の問題としても国家試験で出題される医薬品です。また、メタンフェタミンなどとも構造が似ている為覚えておくことをお勧めします。
エフェドリンはフェネチルアミンアルカロイドに分類されます。
IUPAC名 : (1R,2S)-2-Methylamino-1-phenylpropan-1-ol
同率第4位 インドメタシン 登場回数:6回
出題: 97 回 問 7 、 97 回 問 105 、 100 回 問 107 、 100 回 問 108 、 104 回 問 92 108 回 問 44
同率4位の構造式は『インドメタシン』でした。登場回数は6回となっています。
インドメタシンは言わずと知れた非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一つです。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のインドール酢酸系に分類されます。
インドメタシンの名からインドール骨格を有することが分かります。
IUPAC名 : [1-(4-Chlorobenzoyl)-5-methoxy-2-methyl-1H -indol-3-yl]acetic acid
同率第4位 レボドパ 登場回数:6回
出題: 97 回 問 211 、 100 回 問 222 、 103 回 問 209 、 103 回 問 98 、 103 回 問 165 107 回 問 168
もう一つの同率4位の構造式は『レボドパ』でした。登場回数は6回となっています。
登場回数は6回ですが、6回のうち3回は第103回に登場と集中しています。
チロシン水酸化酵素によりチロシンがレボドパになります。
化学名は3-Hydroxy-L-tyrosineなのでこちらを知っていれば、簡単に構造式を覚えられます。
IUPAC名 : 3-Hydroxy-L-tyrosine
以上が第97回-第106回薬剤師国家試験において、出題された医薬品の構造式のランキングでした。
その他の医薬品の構造式
他にもよく出題されている医薬品の構造式がいくつかあるのでご紹介します。
バラシクロビル 登場回数:4回
出題: 99 回 問 209 、 104 回 問 213 、 105 回 問 209 、 106 回 問 209
構造式は『バラシクロビル』。登場回数は4回となっています。
バラシクロビルは104回、105回、106回と直近の薬剤師国家試験で連続で登場しています。
バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグで、吸収率が高まっている。
バリンとアシクロビルがエステル結合をした特徴的な構造を有しています。
Valine + aciclovir で Valaciclovir となっているようです。
また、バラシクロビルは肝臓で加水分解されてL-バリンとアシクロビルになります。
オメプラゾール 登場回数:5回
出題: 100 回 問 207 、 103 回 問 213 、 105 回 問 199 、 105 回 問 207 、 108 回 問 205
構造式は『オメプラゾール』。登場回数は5回となっています。
オメプラゾールを含むプロトンポンプ阻害薬(PPI)は下記の同じような構造を有します。