向精神薬は、麻薬及び向精神薬取締法によって規制されている医薬品です。 薬学生にとっては、第一種・第二種・第三種の分類と、それぞれに該当する代表的な医薬品を整理しておくことが重要です。
この記事では、向精神薬の分類と代表的な医薬品を一覧表で整理し、薬剤師国家試験で関連するポイントもあわせてまとめています。
向精神薬の分類とは?
向精神薬は、麻薬及び向精神薬取締法に基づき、第一種向精神薬、第二種向精神薬、第三種向精神薬に分類されています。
第一種・第二種・第三種で、保管、記録、譲渡・譲受などの取扱いに関する規定が異なります。
国家試験では、単に医薬品名を覚えるだけでなく、「どの分類に該当するか」「どのような取扱いが必要か」が問われることがあります。
第一種向精神薬の一覧
| 成分名 | 代表的な医薬品 |
|---|---|
| セコバルビタールナトリウム | 注射用アイオナール・ナトリウム |
| メチルフェニデート | コンサータ錠、リタリン錠 |
| モダフィニル | モディオダール錠 |
| ジペプロール | - |
| フェネチリン | - |
| フェンメトラジン | - |
| メクロカロン | - |
| メタカロン | - |
セコバルビタールナトリウム
セコバルビタールナトリウムはバルビツール酸系の向精神薬で、第一種向精神薬に分類されます。 代表的な製剤として、注射用アイオナール・ナトリウムがあります。
メチルフェニデート
メチルフェニデートは中枢神経刺激薬で、第一種向精神薬に分類されます。 代表的な製剤として、コンサータ錠、リタリン錠があります。
リタリン錠はナルコレプシーなどに、コンサータ錠はADHDに使用されます。 コンサータ錠はOROSによる放出制御製剤であることも、薬剤師国家試験で問われています。
第一種向精神薬に該当する医薬品を選択する問題です。 メチルフェニデートが第一種向精神薬であることを確認しておきましょう。
ポイント: 「第一種向精神薬=メチルフェニデート」は、分類問題として重要です。
メチルフェニデート塩酸塩の適応疾患について問われた問題です。
ポイント: メチルフェニデートとナルコレプシーの関連を確認しておきましょう。
中枢神経系に作用する薬物について、メチルフェニデートの作用機序などが問われています。
ポイント: メチルフェニデートはノルアドレナリン・ドパミンの再取り込みを阻害することで作用します。
モダフィニル
モダフィニルは第一種向精神薬に分類されます。 代表的な製剤としてモディオダール錠があります。
モディオダール錠は、ナルコレプシー、特発性過眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う過眠などに使用されます。
第二種向精神薬の一覧
| 成分名 | 代表的な医薬品 |
|---|---|
| アモバルビタール | イソミタール原末 |
| ブプレノルフィン | ノルスパンテープ、レペタン注・坐剤 |
| フルニトラゼパム | サイレース錠・静注 |
| ペンタゾシン | ソセゴン錠・注射液 |
| ペントバルビタール | ラボナ |
| カチン | - |
| グルテチミド | - |
| シクロバルビタール | - |
| ブタルビタール | - |
フルニトラゼパム
フルニトラゼパムはベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、第二種向精神薬に分類されます。 代表的な製剤としてサイレース錠、静注製剤があります。
実務では、向精神薬としての保管や記録などの取扱いについても確認しておきたい医薬品です。
ブプレノルフィン
ブプレノルフィンは第二種向精神薬に分類される成分です。 代表的な製剤としてノルスパンテープ、レペタン注・坐剤があります。
ペンタゾシン
ペンタゾシンも第二種向精神薬に分類される成分です。 ソセゴン錠・注射液などがあります。
第三種向精神薬の一覧
第三種向精神薬には、ベンゾジアゼピン系薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬など、日常の調剤業務でも目にする医薬品が多く含まれています。
| 成分名 | 代表的な医薬品 |
|---|---|
| アミノレクス | |
| アルプラゾラム | コンスタン、ソラナックス |
| アロバルビタール | |
| アンフェプラモン | |
| エスクロルビノール | |
| エスタゾラム | ユーロジン |
| エチゾラム | デパス |
| エチナメート | |
| エチランフェタミン | |
| オキサゼパム | |
| オキサゾラム | セレナール |
| カマゼパム | |
| クアゼパム | ドラール |
| クロキサゾラム | セパゾン |
| クロチアゼパム | リーゼ |
| クロナゼパム | ランドセン、リボトリール |
| クロバザム | マイスタン |
| クロラゼプ酸 | メンドン |
| クロルジアゼポキシド | コントール、バランス |
| ケタゾラム | |
| ジアゼパム | セルシン、ダイアップ、ホリゾン |
| セクブタバルビタール | |
| ゾピクロン | アモバン |
| ゾルピデム | マイスリー |
| テトラゼパム | |
| テマゼパム | |
| デロラゼパム | |
| トリアゾラム | ハルシオン |
| ニトラゼパム | ベンザリン |
| ニメタゼパム | |
| ノルダゼパム | |
| ハラゼパム | |
| バルビタール | |
| ハロキサゾラム | ソメリン |
| ピナゼパム | |
| ビニルバルビタール | |
| ピプラドロール | |
| ピロバレロン | |
| フェナゼパム | |
| フェノバルビタール | フェノバール、ヒダントール |
| フェンカンファミン | |
| フェンジメトラジン | |
| フェンテルミン | |
| フェンプロポレクス | |
| ブトバルビタール | |
| プラゼパム | |
| フルアルプラゾラム | |
| フルジアゼパム | エリスパン |
| フルラゼパム | ダルメート |
| ブロチゾラム | レンドルミン |
| プロピルヘキセドリン | |
| ブロマゼパム | レキソタン |
| ペモリン | ベタナミン |
| ベンツフェタミン | |
| マジンドール | サノレックス |
| ミダゾラム | ミダフレッサ、ブコラム |
| メソカルブ | |
| メダゼパム | レスミット |
| メチプリロン | |
| メチルフェノバルビタール | |
| メフェノレクス | |
| メプロバメート | |
| レフェタミン | |
| レミマゾラム | アネレム |
| ロフラゼプ酸エチル | メイラックス |
| ロプラゾラム | |
| ロラゼパム | ワイパックス |
| ロルメタゼパム | エバミール、ロラメット |
ジアゼパム
ジアゼパムはベンゾジアゼピン系薬で、第三種向精神薬に分類されます。
第一種向精神薬を選択する問題では、ジアゼパムも選択肢として登場しています。
ポイント: メチルフェニデートは第一種、ジアゼパムは第三種という分類を整理しておきましょう。
ゾピクロン・ゾルピデム
ゾピクロン、ゾルピデムはいずれも第三種向精神薬に分類される睡眠薬です。
トリアゾラム
トリアゾラムも第三種向精神薬に分類されます。
メチルフェニデートとトリアゾラムの向精神薬としての取扱いを比較する問題が出題されています。
ポイント: メチルフェニデート=第一種、トリアゾラム=第三種として分類を整理しておくと、関連する法規問題にも対応しやすくなります。
メチルフェニデートの製剤について
メチルフェニデートを含むコンサータ錠は、放出制御製剤であるOROS製剤です。 服用後に錠剤の外形が排泄されることがあります。
メチルフェニデート塩酸塩徐放錠の放出制御機構について問われた問題です。
ポイント: コンサータ錠のOROSによる放出制御機構は、薬剤学分野でも確認しておきたいポイントです。
向精神薬事故届とは?
向精神薬を所有する者について、滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じた場合には、麻薬及び向精神薬取締法に基づく届出が必要となる場合があります。
薬局などの向精神薬取扱者では、事故が生じた向精神薬の剤形と数量がポイントになります。
向精神薬事故届が必要となる数量
| 剤型 | 数量 |
|---|---|
| 末、散剤、顆粒剤 | 100グラム(包) |
| 錠剤、カプセル剤、坐剤 | 120個 |
| 注射剤 | 10アンプル(バイアル) |
| 内用液剤 | 10容器 |
| 経皮吸収型製剤 | 10枚 |
末・散・顆粒:100g(包)
錠・カプセル・坐剤:120個
注射剤:10アンプル(バイアル)
内用液剤:10容器
経皮吸収型製剤:10枚
なお、盗取や詐取などの場合は、上記数量に満たない場合でも別途対応が必要となることがあります。 実際の事故発生時には、最新の法令・通知および所管行政機関の案内を確認してください。
薬剤師国家試験では、向精神薬の分類だけでなく、保管、記録、廃棄、事故時の対応など、実務に関連する内容も出題されています。
特に第一種・第二種・第三種で取扱いに違いがあることを整理しておきましょう。
向精神薬の実務で押さえたいポイント
① 分類を確認する
第一種・第二種・第三種のどれに該当するかを確認します。
② 保管方法を確認する
向精神薬の種類や施設の状況に応じて、適切な保管・管理を行います。
③ 記録の必要性を確認する
第一種・第二種を中心に、譲渡・譲受・廃棄などの記録に関する規定を確認します。
④ 事故が発生した場合は数量だけで判断しない
滅失、盗取、所在不明などの状況を確認し、必要な届出や対応を行います。
まとめ
向精神薬は、第一種・第二種・第三種に分類され、それぞれで取扱いに関する規定が異なります。
薬学生は、まず代表的な医薬品について分類を整理し、そのうえで保管、記録、廃棄、事故届などの実務上のポイントを確認しておくと、薬剤師国家試験対策にもつながります。
- メチルフェニデート → 第一種
- モダフィニル → 第一種
- フルニトラゼパム → 第二種
- ペンタゾシン → 第二種
- ジアゼパム → 第三種
- ゾピクロン・ゾルピデム → 第三種
- トリアゾラム → 第三種
- 事故届の数量基準も確認
出典・参考資料
- 厚生労働省「麻薬及び向精神薬取締法」
- 厚生労働省「麻薬及び向精神薬取締法施行令」
- 厚生労働省「麻薬及び向精神薬取締法施行規則」
- 厚生労働省「薬剤師国家試験のページ」
- 厚生労働省「第111回薬剤師国家試験問題及び解答」
※医薬品の分類や法令上の取扱いは、法令改正等により変更される場合があります。実務で使用する際は、最新の法令・通知・添付文書等をご確認ください。