※当サイトのコンテンツや情報において、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めています。しかし、誤情報が入り込んだり、情報が古くなったりすることもあります。掲載情報は記事作成時点での情報です。最新情報は各自でご確認ください。
※各医薬品の添付文書、インタビューフォーム等を基に記事作成を行っています。
当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
OTC類似薬の保険給付見直し案を覗いてみた
今回は「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について」を覗いてみます
薬学生の皆さん、こんにちは!ごろねずみです。2025年も終盤ですが、将来の薬局業務に大きく関わりそうなニュースが入ってきました。
12月19日の政調会長間合意にて、医療用医薬品の中でも「市販薬(OTC)で代用できるもの」の負担を増やす方針が固まったようです。実習先や将来の職場で患者さんに説明できるよう、今のうちに整理しておきましょう!
1. 何が変わる?「特別の料金」の仕組み
今回の見直しでは、対象となる医薬品を病院で処方してもらう際、通常の窓口負担に加えて「特別の料金」を支払う仕組みが導入される見通しです。
2. 配慮が必要な方(対象外)の検討
すべての人に負担を求めるのではなく、以下のようなケースでは「特別の料金」を求めないよう検討されています。
現場では、この「医師の判断」や「患者背景」を確認する薬剤師の役割が、今まで以上に重要になりそうですね。
3. 【全77成分】対象となる医薬品リスト案
厚生労働省から示された、具体的な77成分(約1,100品目)のリストです。OTC医薬品と成分・投与経路・一日最大用量が同一のものが機械的に選択されています。
引用元: 厚生労働省 【参考資料3】特別料金の対象となる医薬品の成分一覧(案)
| No | 有効成分 | 用途 | 医療用医薬品例 | OTC例 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アシクロビル | 抗ウイルス薬 | ゾビラックス軟膏5% | アクチビア軟膏 |
| 2 | アシタザノラスト水和物 | 抗アレルギー薬 | ゼペリン点眼液0.1% | アレジフェンス |
| 3 | アスコルビン酸 | ビタミン剤 | ||
| 4 | アンモニア水 | 鎮痛鎮痒収斂消炎剤 | ||
| 5 | イソコナゾール硝酸塩 | 抗真菌薬 | アデスタンクリーム1% | " メンソレータムフレディCCクリーム" |
| 6 | イソプロパノール | 殺菌消毒剤 | ||
| 7 | イトプリド塩酸塩 | 胃薬 | ||
| 8 | イブプロフェン | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | ブルフェン | |
| 9 | イブプロフェンピコノール | 非ステロイド系消炎鎮痛剤 | スタデルム軟膏 | |
| 10 | インドメタシン | 鎮痛消炎剤 | ||
| 11 | エタノール | 殺菌消毒剤 | ||
| 12 | エピナスチン塩酸塩 | 抗アレルギー薬 | アレジオン | |
| 13 | L-カルボシステイン | 去痰薬 | ムコダイン | |
| 14 | 塩酸テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン | 点鼻用血管収縮剤 | ||
| 15 | オキシコナゾール硝酸塩 | 抗真菌薬 | ||
| 16 | オキシテトラサイクリン塩酸塩・ヒドロコルチゾン | 抗生物質・副腎皮質ホルモン配合剤 | ||
| 17 | オキシドール | 殺菌消毒剤 | ||
| 18 | オリブ油 | 皮膚保護剤 | ||
| 19 | 希ヨードチンキ | 殺菌消毒剤 | ||
| 20 | クロトリマゾール | 抗真菌薬 | ||
| 21 | クロラムフェニコール | 抗生物質 | ||
| 22 | クロラムフェニコール・フラジオマイシン硫酸塩・プレドニゾロン | 抗生物質 | ||
| 23 | クロルヘキシジングルコン酸塩 | 殺菌消毒剤 | ||
| 24 | ケトチフェンフマル酸塩 | 抗アレルギー薬 | ||
| 25 | サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 | 総合感冒剤 | ||
| 26 | サリチル酸 | 寄生性皮膚疾患剤 | ||
| 27 | サリチル酸メチル・dl-カンフル・トウガラシエキス | 鎮痛消炎剤 | ||
| 28 | サリチル酸メチル・l-メントール・dl-カンフル | 鎮痛消炎剤 | ||
| 29 | サリチル酸メチル・l-メントール・dl-カンフル・グリチルレチン酸 | 鎮痛消炎剤 | ||
| 30 | 酸化マグネシウム | 制酸・緩下剤 | ||
| 31 | 酸化亜鉛 | 収れん・消炎・保護剤 | ||
| 32 | 次亜塩素酸ナトリウム | 殺菌消毒剤 | ||
| 33 | ジクロフェナクナトリウム | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | ||
| 34 | 消毒用エタノール | 殺菌消毒剤 | ||
| 35 | 静脈血管叢エキス | 痔治療薬 | ||
| 36 | 精製水 | 溶解剤 | ||
| 37 | 炭酸水素ナトリウム | 胃腸薬 | ||
| 38 | 沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウム | カルシウム配合剤 | ||
| 39 | チンク油 | 消炎薬 | ||
| 40 | デキサメタゾン | ステロイド | ||
| 41 | テルビナフィン塩酸塩 | 抗真菌薬 | ||
| 42 | トコフェロール酢酸エステル | ビタミン剤 | ||
| 43 | トリアムシノロンアセトニド | 口内炎・舌炎薬 | ||
| 44 | 尿素 | 皮膚軟化剤 | ||
| 45 | 白色ワセリン | 軟膏基剤 | ||
| 46 | ハチミツ | 矯味剤 | ||
| 47 | ピコスルファートナトリウム水和物 | 緩下剤 | ラキソベロン | |
| 48 | ビサコジル | 便秘薬 | ||
| 49 | ビダラビン | 抗ウイルス薬 | アラセナ−A軟膏3% | |
| 50 | ヒドロコルチゾン酪酸エステル | ステロイド | ||
| 51 | フェキソフェナジン塩酸塩 | 抗アレルギー薬 | アレグラ | |
| 52 | フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン | 抗アレルギー薬 | ディレグラ | |
| 53 | フェルビナク | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | ||
| 54 | ブテナフィン塩酸塩 | 抗真菌薬 | ||
| 55 | 複方ヨード・グリセリン | 口腔用殺菌消毒剤 | ||
| 56 | ブドウ酒 | 滋養強壮薬 | ||
| 57 | フラボキサート塩酸塩 | 頻尿・残尿感薬 | ||
| 58 | フルチカゾンプロピオン酸エステル | ステロイド | ||
| 59 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル | ステロイド | ||
| 60 | ベタメタゾン吉草酸エステル | ステロイド | ||
| 61 | ベタメタゾン吉草酸エステル・フラジオマイシン硫酸塩 | ステロイド | ||
| 62 | ヘパリン類似物質 | 血行促進・皮膚保湿剤 | ||
| 63 | ベポタスチンベシル酸塩 | 抗アレルギー薬 | タリオン | |
| 64 | ペミロラストカリウム | 抗アレルギー薬 | ||
| 65 | ベルベリン塩化物水和物・ゲンノショウコエキス | 止瀉剤 | ||
| 66 | ベンザルコニウム塩化物 | 殺菌消毒剤 | ||
| 67 | ホウ砂 | 眼科用剤 | ||
| 68 | ホウ酸 | 眼洗浄・消毒薬 | ||
| 69 | ポビドンヨード | 殺菌消毒剤 | ||
| 70 | ポリエンホスファチジルコリン | 高脂血症薬 | ||
| 71 | マルツエキス | 乳幼児用便秘薬 | ||
| 72 | ミコナゾール硝酸塩 | 抗真菌薬 | ||
| 73 | 無水エタノール | 殺菌消毒剤 | ||
| 74 | モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物 | アレルギー性鼻炎治療薬 | ||
| 75 | ヨウ素 | 殺菌消毒剤 | ||
| 76 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 解熱消炎鎮痛剤 | ロキソニン | |
| 77 | ロラタジン | 抗アレルギー薬 | クラリチン |
4.薬剤師に求められる力
この制度が導入されると、患者さんから「なぜこんなに高くなったの?」と聞かれる場面が確実に増えるでしょう。その際、私たちはどう動くべきでしょうか?
- 提案力 患者さんの症状に合わせて、処方箋を待たずに購入できるOTC薬を適切に選定・推奨する力。
- 連携力 配慮規定に該当するかどうか、医師と情報を共有し、最適な治療環境を整える力。
- 説明力 制度の背景を理解し、納得感のある説明を行うためのコミュニケーション力。
今回の合意はあくまで「方針」であり、具体的な開始時期や最終的な品目は今後正式に決定されます。実習や国家試験の勉強の合間に、こういった「社会の中の薬学」にも目を向けていくと、将来のビジョンがよりクリアになるかもしれませんね。
以上、ごろねずみのDI室でした!また次回お会いしましょう
