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「イトラコナゾール錠50「MEEK」」が自主回収に。
先日、「イトラコナゾール錠50「MEEK」」の自主回収のお知らせが小林化工株式会社のHPに掲載された。
今回の「イトラコナゾール錠50「MEEK」」は自主回収のクラス分類のうち「クラスⅠ」
クラスⅠと言えば記憶に新しいのは大日本住友製薬株式会社が製造している「メトグルコ錠」の原薬に『N‐ニトロソジメチルアミン』が検出された件であろう。(※現在該当ロットの回収終了している。)
「メトグルコ錠」の自主回収のケースではPTPアルミ箔の錠剤接触面の印刷インクが原因であったと公表されていたが、「メトグルコ」の時と異なり今回の「イトラコナゾール錠50「MEEK」」では原因が人為的なミスによるもののようだ。
薬剤師国家試験においても自主回収に関する問題が出題されているのを目にすることはある。
例えば薬剤師国家試験98回の問323などがあるが、どれも冷静に考えれば解ける問題なので難易度は低めである。
「クラスⅠ」という言葉は薬剤師国家試験の問題文の中にも出てくるので一応復習をしておこう。
医薬品 自己回収 クラスⅠとは?
自主回収のクラス分類はクラスI、クラスII、クラスIIIの3つに分類される。
"クラスⅠ:クラスIとは、その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となりうる状況をいう。
クラスII:クラスIIとは、その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性があるか又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう。
クラスIII:クラスIIIとは、その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいう。 "
出典:厚生労働省 医薬品等回収関連情報 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kaisyu/index.html)
クラス分類は危険性が高そうな回収理由が問題文に出ていればクラスⅠの場合が多い為、定義の雰囲気だけでも覚えとけば解けるはず。
イトラコナゾールとは?
イトラコナゾールと言えば皆さんご存知「アゾール系抗真菌薬」ですね。
イトラコナゾール、フルコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾールなど「コナゾール」がついている薬はほとんど「アゾール系抗真菌薬」。
数ある「アゾール系抗真菌薬」の中でもイトラコナゾールは注意する点が多いので薬剤師国家試験でもたびたび出題される抗真菌薬。
例えば内用液では服用時点が空腹時となるが、錠剤・カプセルでは食直後となっている点や爪白癬治療におけるパルス療法。
また、CYP3A4及びP糖蛋白に対して阻害作用を持つため併用禁忌が多い点など様々である。
「イトラコナゾール錠50「MEEK」」にリルマザホン塩酸塩水和物が混入
自主回収の話に戻り今回の「イトラコナゾール錠50「MEEK」」の自主回収の回収理由を確認してみると、「リルマザホン塩酸塩水和物」の混入が判明し服用によりふらつき・意識朦朧などの健康被害の報告もあることから「クラスⅠ」の自主回収となっているようだ。
尚且つ下記の記載がある。
”リルマザホン塩酸塩水和物が、通常臨床用量を超えて混入していることが判明しました。”
出典:小林化工株式会社HP
本来は不眠症の治療に用いるベンゾジアゼピン系睡眠剤の「リルマザホン塩酸塩水和物」が真菌治療薬の中に混ざっているのだからこれは大問題だ。
今回問題となっている「イトラコナゾール錠50「MEEK」」を製造しているのは「小林化工株式会社」である。
「イトラコナゾール錠50「MEEK」」のように「MEEK」と名の付くジェネリックは何種類かあるが、販売元は「Meiji Seika ファルマ株式会社」となっているが、製造販売元は「小林化工株式会社」である。
リルマザホンとは?
リルマザホンはベンゾジアゼピン系催眠薬に分類される睡眠誘導剤である。
ベンゾジアゼピン系と名は付くものの「リルマザホン塩酸塩水和物」はベンゾジアゼピン開環誘導体であり、生体内で非酵素的に閉環してベンゾジアゼピン系の活性代謝物に変換される医薬品である。
こちらの医薬品も何回か薬剤師国家試験に出題されているので覚えておくべきだ。
類題 薬剤師国家試験 過去問
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A: × 医薬品回収のクラスⅢとはその製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいう。
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A: × イトラコナゾールはCYP3A4阻害作用を示す。
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A: 〇
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A: × リルマザホン塩酸塩水和物はベンゾジアゼピン骨格を持たず、生体内で閉環してベンゾジアゼピン骨格を持つ活性代謝物に変換される。
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